今回の話は、猫田さんの泣き言から始まります。
キャニット先生! わたくし猫田、コードを書くのに疲れました! コードを書かずにアプリだけ作りたいです
相変わらずめちゃくちゃなことを言っていますね
実は、猫田さんの行っていることは、そこまでめちゃくちゃでもありません。何故なら、すでにコードを書かずに簡単にWEBアプリを開発できるノーコードツールというものがあるからです
なんとっ!
これには猫田さんもびっくり。でも、どうやら牛山くんは聞いたことがあったようですよ。
そういえば、ノーコードツールがあるという噂を聞いたことがありましたが……あれは本当でしたか
そうなんです。それらのツールを使えば、コードを書かなくても本格的なアプリケーションを作れます。せっかくなので、今回はノーコードツールについて解説しましょうか
というわけで今回はノーコードツール、その中でももっとも簡単と言われているGlideについて紹介します。
初心者でも簡単にわかる:Glideの基本
まずは、Glideがどんなものなのか解説しますね
①:Glideとは
GlideはノーコードでWebアプリの開発ができる有名なツールです。有名どころでは他にAdaloやBubbleといったツールが存在しています。その中でGlideの特徴は扱いやすさにあります。公式HPでは5分でアプリを作れると謳われているほどです
5分でアプリが作れるってすごいですね
本当にすごいのは、短時間でアプリが作れることじゃないんですよ。実は、Glideを使うとJavascriptやPHPといったプログラミング言語はおろか、HTMLやCSSといったマークアップ言語を知らなくてもWEBアプリケーションを開発できるんです
すごいぃいいいいいいい
②:Glideの料金
でも、お高いんでしょう?
ご安心ください、奥様! 有料版もありますが、Glideの基本的なサービスに関しては無料です!
なんかどこかの通販番組見たくなってきましたね
Glide:無料版と有料版の違い
無料版と有料版ではいくつか違いがあります。大きなデータを必要とする場合やモバイル以外の端末でのレイアウトを希望する場合は有料です。
プラン | パーソナルアプリ | プロアプリ |
月額利用料 | 無料 | 32ドル |
レイアウト | モバイル | モバイル、タブレット、デスクトップ |
使用可能行数 | 500行 | 25,000行 |
使用可能シート | 1,000シート | 無制限 |
ストレージ | 100MB | 10GB |
(2021年5月現在)
その他の違いや最新情報は公式HPで確認することが可能です。
また、有料版の重要事項として、作ったアプリ一つ一つに料金プランを設定する必要があります。
③:Glideを使うときの注意点
ちょっと気になったんですけど……Glideのホームページを見ると、全部英語で書かれていますね
はい、アメリカ発のツールなので英語表記で開発する必要があります。これが、Glideを使う際の最大の注意点ですね
うーん、プログラミングは書けなくてOKでも、英語で対応しなきゃなのかぁ
Glideはすべて英語で作られています(2021年5月現在)。簡易な英語のためGoogle翻訳を駆使すれば解決しますが、英語に対する耐性が多少は求められます。
Glideで何ができる?
続いてはGlidenihaには具体的にどのような機能があり、どのようなアプリが作れるのか解説します。わかりやすいようにGlideでできることをまとめてみました
- データを管理
- お気に入り機能
- ユーザー登録機能
- ショッピング機能
- カート機能
- オンライン決済サイト「Stripe」と連携が可能
このような機能があるため、何らかのデータベースを検索するといったアプリの開発からECサイトの構築までノーコードで行うことが可能です。データはGoogleスプレッドシートで管理することが可能なので、MySQLといったデータベースを構築する必要もありません。
Glide:AdaloやBubbleとの違い
さっき牛山くんがGlideのほかにもAdaloやBubbleというノーコードツールがあると言ってたけど、それとどんな違いがあるの?
どれもノーコードでアプリケーションを作れるツールということには変わりはないのですが、それぞれに違いがあります。用途に併せて選択することになりますが、全くの初心者の場合はGlideを選択すべきでしょう
Glideは無料でも使えるテンプレートが豊富にあり、それに従って作っていけば最短5分でアプリを直観的に作ることも可能です。先述の通り、データベースにGoogleスプレッドシートを使用するのが大きな特徴的です。
また、ネイティブアプリ(※)として開発することはできませんが、PWA(※)開発をすることができます。簡単なモバイルサイトを作りたいときにおすすめです。
AppStoreやGooglePlayからダウンロードしてホーム画面においておけるアプリのこと。
※PWA(Progressive Web App):
WEBサイト上でネイティブアプリと同様のプッシュ通知といったユーザー体験を提供する技術のこと。
AdaloとBubbleについて
AdaloはGlideのPWA開発と異なり、ネイティブアプリとして開発することが可能です。また、Glide同様テンプレートを使用して手軽に開発できます。データベースはツール内にあります。Adaloは、Glideと比べるとカスタマイズの自由度は高いですが、その分難易度は高くなります。
Bubbleにも簡単に触れておきましょう。今回紹介する3つの中では、Bubbleがもっとも難易度の高いツールです。GlideやAdaloとは異なり、Bubbleは細かいカスタマイズを可能としているためです。ただ、Bubbleはその分自由度が高く、さまざまなWebサービスを作ることができます。
Adalo、Glide、Bubble……これらの共通点は、どのツールも無料での使用も可能なところです。
3 つのツールの共通点は、どのツールも無料版から使えることですね
Glideがあればエンジニアは不要なの?
一つ疑問があるんだけど……ノーコードツールがあるなら、これからはエンジニアの必要性はなくなっちゃうんじゃない? なんか一生懸命プログラミングの勉強をしてる意味がないような気が……(涙)
ノーコードツールが使えるのは、あくまでも定型的なサービスを早く安く作りたいときです。独自のサービスの開発や他社との差別化を図ることはできません。また、ノーコードツール自体そもそもプログラミングを用いて作られています
どれだけ巷にレシピ本やレシピサイトがあふれようと、シェフが必要とされ続けるのと同じ理屈ですね
Glideでノーコード開発を始める方法
では、Glideを用いたノーコードでの開発の始め方を、実際の画面に沿って解説しましょう
①:アカウント登録手順
まずは公式サイトにアクセスします。
Enter your work email に自身のメールアドレスを入力して、Get startedをクリックします。メールが届くので、メールの中にあるSign inをクリックします。
自身の名前と用途を選んでContinueをクリックします。「利用規約に同意しますか?」という画面がでるのでAccept&Continueをクリックします。準備はこれだけでOKです。
②:Glideの主なメニュー、画面構成
登録が完了すると、下記のスタート画面が表示されます。
AppsのNewAppをクリックし、指示に従って所定のスプレッドシートを読み込ませます。
スプレッドシートを読み込ませると、あっという間に開発画面になります。コードを書いてWEBアプリを作るときのような開発環境を作らなくて良いのも利点ですね。
この際、スプレッドシートのデータが自動的に読み込まれた状態となっており、そこから開発をスタートすることができます。このデータを元に右の項目から直感的に色々いじっていくことでアプリの完成を目指すことができるというわけです。
たとえばラーメン屋とその住所を網羅したスプレッドシートにMapsと組み合わせれば、ラーメン屋検索アプリを作ることができますね。なお、読み込ませたデータは都度GUIから変更することが可能です。
テンプレートを使用する場合は、最初の画面の最下部にあるStart from a classic templateから選択し始めることができます。View All で全てのテンプレートが選択可能になります。
簡潔にまとめられたGUIを見ると、なんだか簡単に出来そうな気がしてきませんか?
たしかに! ワクワクするね
Glideの学習方法
これならわたしでも出来そうな気がしてきたよ!
僕も俄然ノーコードツールに対して興味が湧いてきました。より深く知るために何か学習する手段はありますか?
使い方に関する動画や書籍がでています。これらが参考になりますよ
Glideの学習方法①:動画
公式HPに無料の動画が多数用意されています。こちらは英語になりますが、なんとなく概要をつかむことができるかと思います。
またオンライン学習サイトUdemyでアプリの作り方を実演しているものがあります。こちらのサイトなら日本語で学習できます。
Glideの学習方法②:書籍
英語は嫌です。ノーサンキューです
それなら日本語の書籍でじっくり学習することもできますよ。GlideのほかAdalo、Bubbleについてもまとめられた本が出版されています
基礎から学ぶノーコード開発
おすすめは『基礎から学ぶノーコード開発』という本です。この本をひととおり読めば、ノーコードでの開発の仕方が掴みやすくなります。
Glideの学習方法③:オンラインサロン
動画や書籍でもGlideの学習はできますが、ノーコードツールのコミュニティを使うのも手です。
Glideのデメリット
Glideが簡単なツールで、数分でアプリが開発できてしまうということがわかりました
僕もデータベースの構築が簡単というところに惹かれました。良いことばかりのような気がしますが、英語という障壁があること以外にも、何かしらデメリットのようなものはあるのでしょうか?
Glideを使用する際のデメリット的な部分について説明しますね
製品としてリリースするならお金がかかる
製品レベルとなると大容量のデータベースが必要となるケースが考えられます。スプレッドシートの500行までは無料ですが、それ以上の行数を必要とする場合は有料となります。また、作ったアプリを正式にリリースしたいのなら、独自ドメインの取得をすべきであり、それは有料プランでの対応となります。
あくまでも基本的な動作しかできない
Glideは簡単な分、基本的な動作しかしません。だから、開発前に思い描いていたようには作れない場合もあります。たとえば、Facebook社のInstagramのようなレコメンド機能がついておすすめの画像や動画がどんどん出てくる。そのような凝ったアプリは作れません。
簡単なのしか作れないのかー
でも、今の僕たちでは何を使っても複雑なものなんか作れませんよ
たしかにー
テンプレートが多すぎる
豊富なテンプレートがある反面、どれを選んだら良いのかわからなくなります。このサイトのようにテンプレートについてまとめているサイトもあるので参考にすると良いでしょう。
ノーコードツールGlideのまとめ
Glideを代表とするノーコード開発の説明はこの辺にしておきましょうか。二人とも、どうでしたか?
まだよくわかってないけど、ワクワクするよね
アプリ開発が、すごく身近になった気がします
ノーコード開発にはデメリット面もありますが、無料かつ短期間でちゃんとしたアプリが簡単に作れてしまうのはとても良いところです。たとえば個人やスタートアップ企業で、お金をかけずにサクッとアプリを作りたいときには、かなり重宝するのではないでしょうか。
今制約があって使いづらい箇所も、今後のアップデートでどんどんできる幅も広がっていき改良されていくことでしょう。ノーコードの未来に期待ですね!